第5回 平田先生の健康コラム

第5回 バランスの取り方(“やじろべい”と“モービル”)

年の瀬01皆様、こんにちは。この記事が出る頃の町中は年末年始で忙しい事でしょう。でも、年々、年末が静かになっていると感じるのは私だけでしょうか。子供にとって、最大のイベント“X’mas”も終わり、ホッとしている方も多いでしょう(私もその一人です)。

迎春01さて、一年が終わり、新しい一年が始まりますが、当たり前の話で人は“一歳ずつ”歳をとるものです。寒さも本格的になってきたこの時期に今年(もう去年でしょうが)の夏の暑さを話すのは“季節はずれ”もいいとこなのですが、これはまずいと思うので敢えてその話から・・・。

とにかく暑かったですね。たまたま見たテレビで“4000年(もしかしたら400年だったか)に一度”の暑さだったそうです。地球温暖化の影響と言われていますが、タイムスパンを長くすると、次の氷河期に移行する前段階なんだそうです。“喉もと過ぎれば熱さ忘れる”のたとえの通り、夏が過ぎると暑さはどこ吹く風です。例年になく、秋から冬へはゆっくりとシフトしていきましたが、身体は正直です。以前にもお話ししましたが“秋ばて”の状態になるならまだしも、年齢が上の人々はかなり大変でした。

救急車01十一月(平成二十七年)の時点で、60~70代の女性二人が急に調子が悪くなりました。一人は、朝、起床時は普通だったのに朝ごはんを食べた直後に嘔吐。そして、私の元に電話が有り、「どうしたらよいか?」と訊ねられたので、「状況が落ち着いたら、いらっしゃってください」と申し上げました。ところが、外出しようとした矢先にまた嘔吐。また連絡を受けた私も、感染症の疑いも考えて病院での受診を勧めました。そして、もう一人の方も夜中に急に汗をかき出して、39度台の発熱をして人事不省になり、そして嘔吐。救急搬送され病院へ。

後日、お二人に話を伺いましたが、病院では何を言われたか? 「原因不明」「ことしはこうゆう人が多い」「もしかしたらインフルエンザかもしれない」とのこと。幸いにお二人とも普通の生活に戻りましたが、そのダメージはとても大きいものでした。

バカみたいに暑かった夏に加えて、“あれもやらなくちゃ、これもやらなくちゃ”という、休息を入れない性格も相まって、体力を消耗した挙句の果てという感じでした。この連載の最初の頃に申し上げましたが、無理は“禁物”なのです。そのお二人には、再三再四、その頑張りすぎる性格が身体を壊すよ!!と注意したのですが・・・。それも、生活指導の一つなので、私も口酸っぱくして言ったのですが力及ばずでした。しかし考えようによってはこの程度で済んで良かった訳です。人事不省に陥るのは、本人にとっても、家族にとっても大変な訳ですが、その人は数日前に息子さんから「そんなに動いていたら、また身体を壊すよ」とたしなめられた直後でした。休息時間01

人は社会の中で動く前に、まず自然環境(都会も田舎も関係ありません)の中に存在します。煎じ詰めると、“暑い”“寒い”“暖かい”“涼しい”に適応します。その上で生活環境の中に存在します。“親兄弟”“友人”“会社の人々”“共通の趣味を持つ人々”・・・etc.に適応して行く。人間にとって一番のストレスが“自然の状態”なのに、暑ければエアコン、寒くてもエアコンと冷暖房だけで充分だと思っている。よしんば、その部分で気を付けていても“対人ストレス”に関してはなかなかそうはいかない。自分の性格に至っては“俺はこんな性格だから”と居直ってしまいます。(斯く云う私もそうでは有りますが・・・。)これじゃ~ マズい!!

深呼吸02私の目から見ると、本当に休息をとる事が出来ていない人が多すぎます。“休息”とは“息”を“休める”事であって、つまりは呼吸を調える事です。ですから、脈拍は落ち着いているのに、夜眠れない人というのは、実は“息”が“休まっていない”訳です。不眠は自律神経症状の一つでは有りますが、つまりは“休息”出来ていない訳です。深呼吸01

今回の副題を“やじろべい”と“モビール”は、そんな方々に読んでいただければと思い付けたものです。現代人は“やじろべい”タイプの人が圧倒的に多い。つまり、心身のバランスをとる為に、“左右のおもり”を自分自身の中で等分にした方が良いですから、その調整をとる訳です。例えば、お勤めをしている男性は・・・朝、満員電車に揺られて、ほっと一息ではなく、ドッと疲れる。そして会社に着くなり、上司に叱られ、グッとこらえる。やってらんねえやと思い、やっぱり、グッとこらえる。家に帰ると、冷えたご飯をレンジでチンして食べる。家族は既に夢の中・・・。わびしくなってシーンとなる。こんな繰り返しだから、ストレスを発散したい訳です。身体でも動かそうと思い立ち、スポーツジムに行くでしょう。最初は日常の生活から一定の時間離れる事も有り、サッパリとする。ところが・・・何ヵ月か経つと億劫になって来る。でも何とかしてストレス発散したいから悶々とする。“飲みニュケーション(最早死語です!!)”“カラオケ”もかったるい。この状態は私の目から見ると“やじろべい”の左右のおもりが等分に重くし過ぎて、悪くすると“うつ病”や“狭心症”、下手すると“突然死”のプレステージとても近い訳です。

女性も形は違えど、その本質はやはり一緒です。ご主人が出社して、子供は学校に行く。掃除、洗濯、料理、学校の行事・・・、一生懸命やっているのに子供は登校拒否、学校でいじめられる、私の言う事を聞かない・・・。主人が帰って来て、いろいろ話をするが“俺は疲れている”と顔にマジックインキで黒々と書いて有る。そうして年をとり・・・子供達が落ち着いたら、趣味の世界にのめり込む。それは良いけれど、身体がだんだんついて行かなくなる。でもでも!! 元を取り返すがごとく、頑張っちゃうからへたってしまう。これを“やじろべい”の重りがバランスをとる為に重くなり過ぎて、“やじろべい”の横棒がポッキリと折れてしまうパターン。やじろべえ01モビール01

如何ですか? 多少なりとも思い当たる節は有りませんか? 私にだって、ウチの奥さんにも当然有ります。それが分かれば“おもり”を少なくする方法を見つけてみましょう。必ず身体も羽が生えた様に軽くなるはずです。それを見つけるまでは色々と工夫が必要なのですが。

そして、もう一つの発想の転換に“やじろべい”から“モービル”に変えてしまう事があります。皆さんは“モービル”を知っていますか? 実物を見ると“あーこれね!!”と納得のゆくもの。天井からぶら下げて、色々な形のおもりが絶妙にバランスを取りながら、風に吹かれるとユラユラと揺れて、風がおさまるとまた静かに静止する“おもちゃ”です。“モビール”は風に吹かれても、しっかりとバランスを保っています。動いているときのバランス、そして、静かな時のバランス。バランスの質は変わりません。(因みにモビールはデンマーク発祥です。)

私は常々、人間の身体と心の有り様の理想だと思っています。人の身体を外側から見ると、手足は2本ずつ、目も鼻の穴も2つ、口は1つだけれど顔の中央に位置しています。つまり外見は、多少の違いこそあれ、左右均等に見えます。筋肉も骨格も左右対称に見えます。脳みそですら“脳梁”という“架け橋”を中心に“右脳”“左脳”に分かれて、質量的にはほぼ均等です。内臓はどうでしょう? なるほど、胸の中に収まっている“肺”は左右に有り、心臓は中心に位置しています。骸骨01でも他の臓器は・・・胃は1つ中央に有るけれど形はお世辞にも“素敵”とは言えない。小腸、大腸もそう。曲がりくねって、まるで人生を見ている様・・・。肝臓は“俺様!!”と言わんばかりに体の右肋骨の下にデーンと構えている。膵臓はまるで“豚のあぶら身”みたいな形をして、でも体の細胞に糖を送り届ける。脾臓は何だかよく解からないけど、左脇腹のすみっこでおとなしくしていて、でも、身体を“バイ菌”から護っている。身体の“中身”は大ざっぱに言うと、こんな風に左右非対称です。人間は自覚が無くても、体の中で“モビール”の様な状態を保って生きている訳です。その“モビール”の状態が体の外(筋肉や骨格)のバランスに影響を与えている訳です。強かろうが弱かろうが、外的ストレス(自然生活の両環境)は人にとって風が吹いている様なもの。死ぬまで無風状態は有りえません。そして“人”として生きている以上、その“風”があるからこそ、“人”は智恵も付くし、強くなれる訳です。現代社会は余りにも強い風が吹き続いているのは事実ですが、それを“チャンス”ととらえて、皆さんも“モビール”の様にどんな強風が吹いても絶妙にバランスを取ってゆける“人生の達人”を目指してみませんか?バランスをとる01

またお会いしましょう。

 

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